サイキック・ビジョン 邪願霊

アイドルの新曲キャンペーンを追うドキュメンタリー撮影中に怪異が起き、そのお蔵入り映像を再編集したという設定のフェイク・ドキュメンタリー。Jホラーの重要人物小中千昭が脚本を手がけた最初期のビデオ作品ではあるけれど、基本ドキュメンタリーの体裁をとっているため、『リング』のようなホラー映画を期待して観ると肩すかしを食らうかもしれない。スタイルとしてはむしろ『ほんとにあった!呪いのビデオ』や『放送禁止』に近い。

クライマックスに起こるポルターガイストや霊にとり殺される場面などは、正直前時代的で低予算ゆえのチープさを否めないけれど、テロップによる状況説明や撮影された映像の隅に白いワンピースを着てぼんやり写り込んでいる幽霊描写はユニークで、のちのJホラー演出の原型になった。撮影されたフィルムを通して怪異が起こるという設定も、Jホラーでは定番。

演出:石井てるよし
構成:小中千昭
出演:竹中直人、石山一枝、梅原正樹、佐藤恵美
49分/オリジナルビデオ/1988年