Fancy Free File とは?

Fancy Free File というのは、
1998年から続いているたいへん自由な不定期連載です。
当時、自分のウェブサイトを起ち上げたデザイナーのオリタくんが、
「永田くん、なんでもいいからなんか書かない?」とぼくを誘い、
「なんでもいいならなんか書こうか」とぼくが応えてはじまりました。
SNSはもちろん、スマホもブログもなかった時代です。
ふたりで最初にその話をしたのは、
三軒茶屋のちょっと先の若林というところだったと思います。

そのはじまりに、ぼくはかなり長いコラムを何本も書きました。
なかなか読み応えのあるおかしな連載でしたが、
ちからを入れすぎたせいで更新が滞るようになりました。
これでは続かないと思い、シーズン1からシーズン2への展開として、
オリタくんからお題をもらってライトなコラムを書くことにしました。
しばらく続きましたが、やがてこれも更新が滞るようになりました。

ぼくとオリタくんは話し合い、シーズン3として、
「すごく短い2、3行のコラムをぼくが書き、
オリタくんがそれをデザインする」というかたちに思い至りました。
2、3行の、ちょっとしたことを書くだけでいいので、
これはずいぶん長く続きました。
思えば、この連載のスタイルはツイッターととてもよく似ていました。
(シーズン3の開始時、ツイッターは存在してはいたのですが、
日本にはまだ浸透しておらず、少なくともぼくは知りませんでした)

シーズン3のとても短いコラムは結果的に9年ほど続きました。
ずっと続けられるな、と思っていたのですが、意外な展開を迎えて、
2017年の夏に、幕を閉じることになりました。
ぼくが個人のツイッターをきちんとはじめてしまい、
「すごく短い思いつきの一文」をどちらに掲載すればいいのか、
自分のなかでバランスが取れなくなってしまったのです。

そこでまたぼくとオリタくんは話し合いました。
最初の話し合いから19年後、今度の会合場所は北青山でした。

さて、いうまでもなく、Fancy Free File という連載をはじめてから、
時代は大きく様変わりしていました。
「ホームページ」の時代にはじまったこの連載も、
いよいよもっと自由に広がっていいように思いました。

そして、すごく正直にいえば、
フリーランスのオリタくんの個人ページに
19年間連載していたこのおかしなコラムを、
もうちょっと多くの人の目に触れるようにしても
いいのではないかとぼくらは思いました。
というのも、いま、個人ページの奥のほうにある連載を、
あんまり人は見に来ませんから。

そこで、「永田泰大の短い文と、折田烈の小気味よいデザイン」を、
インスタグラムに場所を移して連載することにしました。
── Fancy Free File シーズン4──です。

テキストはぼくのツイッターと共有することにしました。
ぼくがツイートしたことばを、
オリタくんが材料として自由につかってデザインする。
そういう原則を定めて、新章をスタートさせます。

もともとのオリタくんのページにも
シーズン4のアーカイブを残していく予定です。
ちなみに、275回も続いたシーズン3のアーカイブも残ります。
(シーズン1と2のアーカイブはありません)

長々と語ってしまいましたが、
たったふたりだけで19年も続けているおかしな連載なので、
これがどういうものかということを説明させていただきました。

今後とも、どうぞよろしくお願いします。
新しいかたちの連載に、反応などいただけますと、
ぼくもオリタくんもとてもうれしいです。


2017.7.18 永田泰大

永田泰大(ながた・やすひろ)
1968年生まれ。
週刊ファミ通編集部から一瞬のフリーランスを経て現在、ほぼ日刊イトイ新聞に勤務。
この Fancy Free File の連載は古く、1998年4月よりじつに20年以上続いている。