女優霊

映画の撮影スタジオに棲む女優の霊が、映画の撮影現場に怪異をもたらしていく。
『本当にあった怖い話』で出会った中田秀夫・高橋洋コンビによる、映画の撮影スタジオを舞台にした長編。中田監督の映画製作に対する愛情、メロウなドラマと高橋脚本による生理的に恐怖を感じさせる仕掛けのバランスが絶妙。音楽もすばらしい。ちなみに中田監督による『ラストシーン』(2002)も映画製作現場を題材にしていて、非ホラー版『女優霊』といった感じの秀作。ホラーじゃないのにちょっと怖いです。

ここで登場する幽霊は、舞台になるスタジオで以前事故死した女優の霊。長い黒髪に白いワンピースを着ていて、お歯黒をつけた口を開け狂ったように笑っている(が、声は聞こえない)。未現像フィルムの中(見返すたびにはっきりしてくる)、ロケバス、人気のない廊下、鏡の中などにぼんやり登場するのだけれど、クライマックスで監督が襲われるシーンだけは、舞台演劇のような照明が当たって力強く描写されている。まるで怪物映画のようで、幽霊好きとしては違和感があるけれど、今回再度見てみて、これは監督(映画の中の役柄)が子供の頃に記憶していたテレビ映画の再現なのではと思いなおした。

監督・原案:中田秀夫
脚本:高橋洋
出演:柳ユーレイ、白島靖代、石橋けい、大杉漣、サブ、菊池隆則、高橋明、根岸季衣、芹沢礼多、日比野玲、小林宏司、李丹、飯島大介、小島なおみ、染谷勝則、吉田祐健

75分/1996年

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