夏の体育館(1991)

  • 監督:鶴田法男
  • 脚本:小中千昭
  • 「ほんとにあった怖い話 第二夜」収録

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オリジナルビデオ(俗に言うVシネマ)として作られた、霊体験再現ドラマシリーズの最初期作品。その後のジャパニーズホラーのお手本になったと思しき演出方法が散見できる。特にこの「第二夜」は音楽の使い方が前作「ほんとにあった怖い話」(1991)にくらべてモダンで、子役の演技力に目をつぶれば、今でも十分に怖い。

体育館にある小部屋(放送室?)に現れる女幽霊は、顔を半分長い髪で隠し、赤いボディコン姿でかくかくと迫ってくる。ここではまだ足下を半分透けさせて幽霊であることをわかりやすくしているものの、その後のジャパニーズホラーの幽霊の基本になった造形。しかし、どうやら鶴田監督自身は自分が発見、発明した演出スタイルを突き詰めることより、センチメンタルなドラマのほうに興味があるようで、続編『新・ほんとにあった怖い話 幽幻界』(1992)ではこのタイプの幽霊を使っていない。

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ほんとにあった怖い話「第二夜」 [VHS]

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ふたりぼっち(2005)

  • 監督・脚本:安里麻里
  • 原作:木原浩勝、中山市朗
  • 『怪談新耳袋-ふたりぼっち編-』収録

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『ソドムの市』(高橋洋監督)で助監督を務めていた、安里麻里監督によるBS-iドラマ「怪談新耳袋」の一編。低くうなるノイズと日本の家屋の暗さを効果的に使った、心霊実話のお手本のような作品。ショッカーになりそうなシーンも、あたかも現実に当たり前にあることのように演出されていてぞくぞくする。黒川芽以演じる霊能力があるヒロインの諦観ぶりも良い。

ここでの幽霊は真っ黒(焼身自殺をしたという設定なので)で目だけが光っている。立っているだけで動きもしないし言葉も発しない。

怪談新耳袋 - ふたりぼっち編 - [DVD]

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片隅/4444444444(1997)

  • 監督・脚本:清水崇
  • 「学校の怪談G」収録

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それぞれのちに『呪怨』の1パーツとなる、3分の掌編。「片隅」で伽椰子が初登場しているのだけれど、ここでは霊というよりどう猛なゾンビという感じで、かみついて殺している(ように思わせている。実際のシーンは無し)。餌食になって一度死んだ人間が伽椰子化するのもゾンビ的。

ハリウッド版『THE JUON』のセルDVDにも収録されてます。

学校の怪談G [VHS]

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庭(2004)

  • 監督・脚本:高橋洋
  • 原作:木原浩勝、中山市朗
  • 『怪談新耳袋-開けちゃだめ編-』収録

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ホラーマスター高橋洋による、数少ない監督作のうちのひとつ。BS-iドラマ「怪談新耳袋」の一編。5分という掌編ながら、モノローグ、ナレーションをほとんど使わず、淡々とした台詞と怪異のたたみかけだけで禍々しい空気を濃くしていく手法はさすが。何も起こらないシーンも怖い。内容はかつて、殺した人間を飼っていた猛獣のエサにしていた家に越してきてしまった主婦の話で、『インフェルノ・蹂躙』(1997・高橋洋脚本)、愛犬家連続殺人事件を連想させる。

幽霊は怪異のクライマックスで登場。全貌は現さず、かがんだときに視界の端に白い足が見えるだけで、視線をあげると何もいない。この手法は『霊のうごめく家』(1991・鶴田法男監督)でも使われていた。

怪談新耳袋-開けちゃだめ編- [DVD]

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木霊(1998)

  • 監督:黒沢清
  • 脚本:高橋洋
  • 原作:網野成保
  • 「学校の怪談G」収録

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超能力があるという女生徒をテストするために、校内に隠れた生徒がつぎつぎと“木霊”に取り殺されていくファンタジックなホラー。関西テレビ版『学校の怪談』の1編。なぜ“木霊”が襲ってくるのかの説明は無いので難解ではあるけれど、カーテンを使った、日常が歪んでいく演出がすばらしい。

取り殺された人間は水になり、その後幽霊となってあらわれる。幽霊は生きていたときの行動を繰り返し、ゾンビを思わせる。

学校の怪談G [VHS]

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