女優霊(1996)

  • 監督・原案:中田秀夫
  • 脚本:高橋洋

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翌々年に『リング』がブレイクする中田・高橋コンビによる、映画の撮影スタジオを舞台にした長編(といっても80分弱)。中田監督の映画製作に対する愛情、メロウなドラマと高橋脚本による生理的に恐怖を感じさせる仕掛けのバランスが絶妙。音楽もすばらしい。ちなみに中田監督による『ラストシーン』(2002)も映画製作現場を題材にしていて、非ホラー版『女優霊』といった感じの秀作。ホラーじゃないのにちょっと怖いです。

ここで登場する幽霊は、舞台になるスタジオで以前事故死した女優の霊。長い黒髪に白いワンピースを着ていて、お歯黒をつけた口を開け狂ったように笑っている(が、声は聞こえない)。未現像フィルムの中(見返すたびにはっきりしてくる)、ロケバス、人気のない廊下、鏡の中などにぼんやり登場するのだけれど、クライマックスで監督が襲われるシーンだけは、舞台演劇のような照明が当たって力強く描写されている。まるで怪物映画のようで、幽霊好きとしては違和感があるけれど、今回再度見てみて、これは監督(映画の中の役柄)が子供の頃に記憶していたテレビ映画の再現なのではと思いなおした。

女優霊 [VHS]

女優霊 [VHS]

呪怨/呪怨2:OV版(2000)

  • 監督・脚本:清水崇

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ご存じ『呪怨』の一作目、Vシネマ・オリジナル版。『リング』で確立されたジャパニーズホラーにカウンターとして登場した新世代ホラー。いま改めて見返してみると、ビデオ撮影特有の暗さと、役者のマイナーさ加減が不穏なムードを醸し出しているのがわかる。このブログで紹介しているような作品群に影響を受けたと思われる心霊演出はもちろん、インモラルなゴアシーン、スプラッタ、サイコスリラーなど、これでもかというくらいにアイデアが詰め込まれていながら、引用にとどまらずそのどれもがちゃんと怖くなっている。まるで曲をノンストップでつないでいくDJミックスのよう。ただ全体を通したストーリーは劇場版に比べると場当たり的で、段階を踏んだ怖さはない。

メインの伽椰子は幽霊というよりモンスターに近く、別の種類の怖さになっているけれど、伽椰子登場にいたるまでの段取りや取り憑かれた人間の描写は「小中理論」に基づいたオールドスクールの心霊演出がなされている。特に北田良美(藤井かほり)が伽椰子に取り憑かれていくシーンはおそろしい。

呪怨 [DVD]

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呪怨2 [DVD]

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