- 監督:鶴田法男
- 脚本:小中千昭
- 「ほんとにあった怖い話 第二夜」収録
借家に越してきた家族が体験する心霊現象を淡々とつないだ、ジャパニーズホラー黎明期の傑作短編。引っ越したばかりの感情の不安定さと心霊現象による恐怖をうまく重ね合わせている。たとえ心霊現象が起きても、そのことだけに翻弄されず、日常生活は続けられているところが実話怪談的。
ここでの幽霊は、上下黒ずくめの男性。顔を多少メイクしてはいるものの、そのまま普通の人間が演じていて動きはほとんどない。異形にならないように幽霊らしさを出そうとする方法のひとつで、その後、黒沢清監督『回路』(2000)などで洗練されていく幽霊の元祖だけれど、こちらはノンエフェクトで幽霊としての記号が少ないので、リアルではある(んだろう)けれど今見るとちょっと微妙。
ちなみに、のちの「ほんとにあった怖い話」で同じく“借家モノ”の「憑かれた家」(2003/ユースケ・サンタマリア主演)を鶴田演出で撮っていたのだけれど、オープニングのショットはこの作品を自ら引用していた。
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